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風に性格があるとするならば、
「江戸扇子」であおぐ風は、気風のよい感じがする。
下町の扇には、かっこいい夏が宿っていました。




そよそよとほおにあたる風が、いつもより上等に思えるのは気のせいか。 江戸の扇は、とことんかっこいい。下町に息づく心意気そのものといってもいいかもしれない。シンプルで渋く、タフであり、そして何より大胆でもある。その心意気をさりげなく、着物のふところかバックの中にでも、そっとしのばせてみたいものだ。それを取り出し、あおぐ姿もまた風流である。
下町の“粋”が詰まった「江戸扇子」。昔から変わらない製法で、40ほどもある工程を職人一人で仕上げていく。
『荒井文扇堂』オリジナルの江戸扇子には、根底に流れる“かっこよさ”がある。それは、“江戸”“下町”“浅草”というキーワードに集約されるのかもしれない。
4代目・荒井修さんは、浅草で生まれ育った。下町の文化である歌舞伎や落語にも精通し、いわば下町の“粋”が染み込んだ人である。荒井さんのデザインするものは、余計なものを省いたシンプルさ、渋み、繊細で大胆なタッチに目を奪われる。
お店には、日本舞踊の扇子を中心に、普段使いにできる持扇(もちせん)、柿渋を塗った渋扇(しぶせん)、丈夫な造りが特徴の江戸一文字型のうちわなどがある。それぞれに違った個性があるが、同じ精神を宿しているように思える。
あじさいの持扇をあおがせてもらった。風にも、どことなく“雰囲気”が宿った。